突然の約束から数日。
キョウは何となくボーッとした気分のまま何をする訳でもなく過ごしていた。
読書をするにも身が入らない。
そんなことをしている間にも約束の日は着実に近付く。
あの日起きた出来事が未だに信じられない。
まさか私が都中の娘の憧れであるガクと……
ガクが自分に向けた笑顔を思い出すと胸が高まる。
しかし、ドキドキが収まらない一方で不安な気持ちも募っていく。
このまま流れに任せて彼との距離を縮めてもいいのだろうか。
彼が私とまた会いたいと思ってくれているのは事実かもしれないが、彼の隣にいる人は彼の意志だけでは決まらないことは分かりきっている。
そのような厳しい舞台に簡単に上がる程の度胸も持ち合わせていない。
考えば考える程、気分は暗くなっていった。
約束を破ったら、彼はそんな女は嫌だと離れていくだろうか…
彼が嫌ってくれたら、自然と心の整理がつくだろうか……
そんな考えが頭を巡るようになった頃、スジュンが家を訪れた。
「スジュン先生っ」
「よっ!ちょっと顔を見ようと思って寄ったんだ」
突然の訪問に驚くキョウに片手を上げて笑顔で応えるスジュン。
縁側に座る二人。
いつものまったりした雰囲気の中にもスジュンはキョウが何か思い悩んでいることに気付いた。
本能的に聞きたくない気持ちにもなったが、やはり放っておけない。
「何かあった?」
「…え?どうしてそう思うの?」
「うん…何となく?長年の勘かな」
「…ふふ…さすがです。……あの、実は……」
キョウが事の次第を語る最中、スジュンはキョウの話し声が霞む程の自分の鼓動が聞こえた。
何処か痛みさえ感じてしまう鼓動。
ついに…ついに覚悟していた日が近づいているんだ。
少し頬を赤らめながら話すキョウの様子を見る限り、本当はどうしたいかは明らかだ。
「…それでどうしたらいいのか…私…」
「どうしたい?…キョウは、どうしたい?」
「え、私は…えーっと…」
指をモジモジさせるキョウは、どうしようもなく可愛らしい。
…でも、僕の役目は決まってる。
一息つくと、話が始まってから初めてキョウの目を見つめた。
「もったいないな」
「え?それって…」
私が彼に…ってこと?
確かにその通りだけど…そんなにはっきり言わなくたって…
少し俯いたキョウの頭にポン手を置くと、言葉を続ける。
「何処かの坊ちゃんには、賢くて思い遣りがあって少ぉしは可愛いキョウはもったいないよ」
「え…少しって何です、少しって!」
「ごめん、ごめん。…でも、本当にもったいない程だから大丈夫だよ。あとは、キョウがどうしたいかが大切だ。…キョウの人生だから。何か困ったことがあったら、相談してくるといい。いつでも僕は君の味方だから。僕みたいな心強い後ろ盾もいるんだ。キョウは自分の進みたい道を選ぶといいよ」
「…うん。ありがとう、スジュンお兄さん」
久し振りに聞いた懐かしい呼び名に胸が締め付けられる。
そんな考えが頭を巡るようになった頃、スジュンが家を訪れた。
「スジュン先生っ」
「よっ!ちょっと顔を見ようと思って寄ったんだ」
突然の訪問に驚くキョウに片手を上げて笑顔で応えるスジュン。
縁側に座る二人。
いつものまったりした雰囲気の中にもスジュンはキョウが何か思い悩んでいることに気付いた。
本能的に聞きたくない気持ちにもなったが、やはり放っておけない。
「何かあった?」
「…え?どうしてそう思うの?」
「うん…何となく?長年の勘かな」
「…ふふ…さすがです。……あの、実は……」
キョウが事の次第を語る最中、スジュンはキョウの話し声が霞む程の自分の鼓動が聞こえた。
何処か痛みさえ感じてしまう鼓動。
ついに…ついに覚悟していた日が近づいているんだ。
少し頬を赤らめながら話すキョウの様子を見る限り、本当はどうしたいかは明らかだ。
「…それでどうしたらいいのか…私…」
「どうしたい?…キョウは、どうしたい?」
「え、私は…えーっと…」
指をモジモジさせるキョウは、どうしようもなく可愛らしい。
…でも、僕の役目は決まってる。
一息つくと、話が始まってから初めてキョウの目を見つめた。
「もったいないな」
「え?それって…」
私が彼に…ってこと?
確かにその通りだけど…そんなにはっきり言わなくたって…
少し俯いたキョウの頭にポン手を置くと、言葉を続ける。
「何処かの坊ちゃんには、賢くて思い遣りがあって少ぉしは可愛いキョウはもったいないよ」
「え…少しって何です、少しって!」
「ごめん、ごめん。…でも、本当にもったいない程だから大丈夫だよ。あとは、キョウがどうしたいかが大切だ。…キョウの人生だから。何か困ったことがあったら、相談してくるといい。いつでも僕は君の味方だから。僕みたいな心強い後ろ盾もいるんだ。キョウは自分の進みたい道を選ぶといいよ」
「…うん。ありがとう、スジュンお兄さん」
久し振りに聞いた懐かしい呼び名に胸が締め付けられる。
しかし、だからといってこれ以上何もすることは出来ない。
これまでも、そしてこれからも"先生"であり"お兄さん"が僕の役目だから。
私は決めた。
彼に会いに行こう。
これから先、たくさん大変な事があるだろうけど、会いに行かなかった事を後悔するよりは良いだろう。
私には、スジュンお兄さんもついているから。
出来る所まで頑張ろう、後悔しないように。
…………………………………………………………………………
お久し振りです!!
連続で前世のお話です。
現世もやっと主役二人の絡みが出て来そうな寸前ですが…すみません(−_−;)
今回は前世のお話をお楽しみください。。
春はすぐそこなのに、未だに暖まりきれないですね……
早く春が来るといいですね(。-_-。)
皆さん、季節の変わり目は体調にお気をつけくださいね。
なるべく早く皆さんにまたお会いできるように頑張ります!!
Onehoでした!!
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by oneho-inway0621
| 2015-02-20 17:08
| 桔梗の輪廻~序章~