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其十二

約束の日が来た。

キョウはいつもより早く目が覚めてからずっと気分が落ち着かないでいた。
約束の場所に行こうと決心したものの、本当に彼が来るのか、自分が彼のような人と会ってもいいのだろうか、このような疑問が頭の中を巡って答えが出てこない。
しかし、約束を申し出た彼の顔を思い出す。

“キョウさん。僕、ずっと待っていますから。”

満面の笑みでこう言った彼。

もし来なかったとしても、それはそれで踏ん切りがつくかしら。
・・よし、もうここは当たって砕けろ、ね。こんなにくよくよしてるのも私らしくないわ!
持ち前の芯の強さで気を取り直したキョウは、当たって砕けろとは自棄になって言いながらも、いつも以上に念入りに支度をし始めた。


「若様、どうかされましたか?」

「・・え?」

自宅の庭を日の出前からうろうろする李家当主のご子息の様子を心配そうに伺う使用人たち。
そんなガクの姿を見るのは初めてだった。

ガクはといえば、そんな奇怪な行動に出ている自覚がない。
ただ眠れず、何をしていいのか分からないだけだ。
さらにそのガクを変に見せているのは、ガクが思いっきり外出するための服に着替えていることだ。
今日は学堂はないはず。普段なら、家に一日中引きこもって本を読みふけってるものを、今日はどうしたのだろうか。

「若様、今日はお召し物からすると外出なさるご予定ですか?」

「あぁ・・まぁ、一応な」

「では、誰かが一緒に・・・」

「そ、それは結構だ。・・その・・うん、少し、商店街を見に行くだけだからな。」

「何かお買いになるのなら、やはり誰かが・・」

「いや、大丈夫だ・・何か買うというより・用事があって・・とにかく大丈夫だ」

「そ、そうですか・・」

いつもの口が立つガクらしくないうろたえぶりに怪しさは増す。

「いつ頃お出かけに?早朝からずっとそうしておられますが・・」

「あぁ・・そうだな・・そろそろ出ないとだな」

「え?あ、そうですか。あ、いってらっしゃいませ!!お気をつけて!!」

ガクは我に返ったように早足で家を出て行った。
使用人たちはガクの突飛な行動に唖然としている。

「若様、どうなさったのだろうか?」

「明らかに様子が変でしたよね・・」

「もしかして・・ついに若様にも恋が訪れたとか!?」

「「恋が!!??」」

生まれてこの方、勉学にしか興味のなかった若様の初めての色恋沙汰疑惑に李家の使用人たち一同が湧いたのだった。


二人が会うことを約束した、都から少し外れた丘。
時刻は日が昇ってから数時間経った頃。
丘の上に生えている青々とした一本の木の根元に、一人の青年が立っている。
すらりとした長身に、凛々しい顔立ち。
近くには寄らないものの、都の娘たちはその姿を少し遠くから眺めて、ため息をこぼす。

「あの方、李家の若様らしいわ。家柄もさることながら、容姿もあんなに優れているなんて、一度でいいからあの方の目にかかりたいものだわ」

「まだ縁談が決まってないらしいわ。私にも機会があればよいのだけれど・・」

「余程のお家のご令嬢じゃないと、彼とのご縁なんて無理よね」

そんな娘たちの声が聞こえているのかいないのか、ガクはそちらの方を見ることもなく、青々とした木と空を見上げるだけだ。

そこにキョウが近づいて来た。
丘に近づくにつれ、なぜか娘たちが多くなっていく気がする。
都から少し外れたところだからそんなに人はいないと思っていたのに。
そんな中、丘の方から歩いてくる娘たちが少し興奮気味に話す内容が入ってくる。
素敵な若様?お家柄も揃っていらっしゃる??・・まさか、もういらっしゃってるの!?
少し早めに着くように家を出たつもりだったのに・・歩くのが遅かったかしら。
待たせてしまうなんて・・

丘が見えるようになると、いよいよ人々、特に都の娘たちがその丘のふもとに群がっている。
その者たちの視線の先には、さっきから聞いていた内容から一切劣ることのない、雰囲気を携えて佇む彼がいた。

どうしよう・・こんなに人の目がある中で、彼に近づくことなんて出来ない・・
長衣を被って、ふもとの人々の中に紛れて動けないでいると、不意に名前を呼ばれた。

「キョウさん!!」

声のした方を、長衣の隙間から覗くと、皆の注目の的である彼が、確かに私を見て手を挙げている。
それと同時に周囲の視線が一斉に自分に注がれるのが分かる。
だからといって、このまま逃げるわけにもいかないので、長衣を深く被ったまま、少しずつガクの方へと進みだした。
一瞬静まり返った周囲が、キョウが一歩進むたびにざわめいていく。
しかし、ガクにそんなざわめきは届いていない。
キョウが来てくれた、この嬉しさで胸がいっぱいになっている。

ようやくガクの目の前にキョウがたどり着いた。

「イ・ガク様、お待たせしてごめんなさい。もう少し早く家を出ればよかったのに・・」

開口一番で謝るキョウを遮って、ガクは告げる。

「ありがとう。来てくれて、本当に嬉しい。僕が早く来すぎただけだ、そんなこと気にしないで。・・それに」

ガクはキョウが被った長衣を少し開けて、自分だけにキョウの顔が見えるようにする。
キョウは急に開けた視界にまぶしさを感じて目を細めながらも、徐々にはっきりとする視界の先には、とてつもなく温かい微笑みをしたガクがいた。
そんな表情をしたガクと目が合ったことで一気に頬が熱くなるキョウ。
ガクは、そんなキョウを見て、困ったような顔をしながら言葉を続けた。

「それに、こんな素敵なキョウさんを一人で待たせるのは、もっと心配だ」

率直なガクの言葉により火照るキョウ。

二人の周りにはまだたくさんの人々がいて、相変わらず注目の的だったが、二人はもう周りなど見えていなかった。
ガクにはもとからキョウだけしか見えていなかったうえに、キョウには長衣に囲まれた視界の中で、目の前の微笑むガクと木の葉が風に揺られて奏でる音、それだけだった。

青空と青々とした木々を背景に容姿端麗な二人が佇む風景は、誰が見てもお似合いで幸せな光景であった。
そして、その光景を見つめる人々の中に、洪氏から依頼を受けた者もいたのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お久し振りの前世のお話です!!!
前世の二人は今のところ幸せな時間を過ごしてますね・・(#^^#)
書いていてもほっこりした気持ちになります。。
前世はこれからがだんだん不穏な雰囲気になっていくのかと・・(*_*)

皆さん、いつも不定期な更新で、本当に申し訳ありません。

2015年は私にとってはあっという間の一年でした。
2016年は今年よりもっと多くのお話を皆さんにお届けできるよう頑張ります!!
皆さん、「蓮の花」をこれからもよろしくお願いしますm(__)m!!

Onehoでした!!









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# by oneho-inway0621 | 2015-12-30 14:12 | 桔梗の輪廻~序章~

42

ボランティア当日を迎えたパクハたち。
パクハのバイト先の花屋のお得意先である老人ホームにて、料理を振る舞ったりゲームをしたりして大盛況だ。
加えて老人ホームは花屋から贈られた花々で飾り付けられ、彩られている。
おじいさん方に人気のパクハとミミ、そして、おばあさん方に引っ張りだこのジュンス。
特におばあさん方のお話し相手を一人でこなすジュンスはなかなか大変だ。

「ジュンス先輩!料理の盛り付け手伝って~~」

「分かった、キョン」

「坊や、どこに行くんだい??私らと話をしておくれよ」

「あ、今はですね~、ちょっと手伝いに行かないと・・あとでたくさんお話しましょうよ~」

おばあさん方に引き留められて戸惑うジュンス。

「それなら僕とお話ししてください」

そこに響く声。
その声にパクハは料理を盛り付けていた手を止める。

「え、パク・ユチョン!?」

ジュンスが驚きの声を上げる。

「あら、あなたが例のパク・ユチョン君なのね・・」

ミミは、パクハから以前聞いていたユチョンを初めて実際に見て、何かを品評するように上から下までじろりと見ている。
パクハはというと、驚いて何も言えない。

「どうしてここに?パクハから来ないことになったと聞いてたのに」

質問するジュンス。

「ただ・・自分の心に従おうと思って。僕がここに来たくて、手伝いたくて、来ました」

ジュンスからの問いにパクハを真っ直ぐ見て答えるユチョン。
自分を直視してそう告げるユチョンの目に捉えられて目を反らすことが出来ないパクハ。
見つめ合う二人の周りに妙な雰囲気が漂う。
その雰囲気をかき消すかのようにジュンスが声を発する。

「ま、理由はどうであれよく来たユチョン!!さぁ、おばあちゃんたち!!僕ほどではないけど、それなりにカッコイイ彼が来てくれたから、彼ともお話してくださいね」

ユチョンを見てご機嫌なおばさん方。

「あら~、整った顔立ちだわねぇ」

「あたしの孫になってほしいもんだよ」

四人体制になってからは、少しはスムーズになった事の運び。
ユチョンはすぐにおばあさん方と打ち解けて楽しげに話している。
この和やかな雰囲気の中で、パクハとユチョンは自然に笑い合っていた。
この時間、それは、最近のしがらみを忘れて、パクハ、ユチョン、ジュンス、ミミ、そして老人ホームの方々が一緒に過ごした、ただただ温かい時間だった。


ボランティアの時間にも終わりが来て、片づけを始める。
そして、ふと気づくと、廊下に飾られたデコレーションをパクハはユチョンと二人で片付けていた。
先程までは普通に笑い合っていた二人も、いざ二人になると気まずい沈黙が訪れる。
パクハは早く終わらせて、せっせとこの空気から抜け出そうとしていた。

一方でユチョンは会話の糸口を探す。
先程、“自分が来たくてここに来た”と言ったとき、パクハの表情からは何も読み取れなかった。
無言で黙々と作業が続けているパクハは、ユチョンには怒っているようにも見える。
本当に来てほしくなかったのだろうが・・

パクハがふと手を止めて、何か考え事をしている。
ユチョンは今だと口を開く。

「「あの・・」」

パクハも同じタイミングでこれだけは伝えておきたいと思っていたことを言おうと口を開いた。

「あ、ごめん。パクハから言って」

「いいよ、ユチョン君からで」

「いや、俺のは大したことない・・っていうか、まぁ、単に自分が気になってることっていうか・・だからパクハから」

「そう・・じゃあ・・ユチョン君」

「うん」

パクハは、ユチョンの目は見ようとせず、真っ直ぐ前を向いたまま話を続ける。

「・・・ありがとう。今日は、来てくれて。色々と私が自分勝手に誘ったり断ったりして、結局は手伝ってもらって。本当に助かったの。ありがとう」

怒ってなかった・・安心した。
これが一番の感情だ。
そして、自分が言おうとしていたことが自然と口に出ていた。パクハを真っ直ぐ見据えて。

「俺は・・ごめん。色々と気づいてなくて。単純にパクハと過ごすのが楽しいって、仲良くなりたいって、それだけしか考えてなくて。パクハとセナの間に何があったのかは分からない。深く訊くつもりでもない。でも・・」

ユチョンは確かに感づいている。
でも、パクハは何も言うことができなかった。ただ勇気がなくて。自分はこの人にすがっていいような存在じゃないから。
ユチョンは、いつも今のように自分を真っ直ぐ見据えて、率直に言葉を伝えてくれる。
それに応えることのできない自分はやはり彼に惹かれているのだろう。
純粋に友達としていられないから、彼を真っ直ぐ見れないし、素直に自分の感情を告げられない。

ユチョンは、そんなパクハの心の葛藤を知っているかのように力強く言葉を続けた。

「でも・・だからこそ、勝手に俺を避けたりするな。思いっきり俺に感情をぶつけて、避けるならその後にしろ。・・・じゃないと、俺の気が休まないから」

最後はいたずらっぽく、でもずっと目は真剣なままそう告げた。

パクハはやっとユチョンの目を見た。
どうしてこの人はこんなに真っ直ぐに自分を見るんだろう。
私も、この人も目に応えたい。
自分さえ少し我慢すれば、この気持ちを少しずつ整理していけば、そうすれば良いだけなんだから。
逃げるのはやめよう、自分もきちんと向き合っていこう。

パクハは今の自分の心に素直に従って、優しく微笑む彼に微笑み返した。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皆さん!!!!!
ご無沙汰してます(ノД`)・゜・。
ついにアップできました・・・
クリスマス少し過ぎてしまいましたが、メリークリスマスです!!

ユチョンのベクトルは徐々にパクハの方へ(^^♪
だいぶ心が楽になってきました。。

次は、前世のお話。
これは年内にお届けする予定です!!!!

いつも不定期ですみませんm(__)m
ずっと読んでくださっている皆さん、この話から初めて訪れてくださった皆さんにお話をお届けできるように頑張ります!!

Onehoでした!!!












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# by oneho-inway0621 | 2015-12-27 17:57 | 桔梗の輪廻

41

ボランティアに向けたミミとジュンスとの話し合いもどこか上の空のまま終えたパクハ。
三人で夕食を済ませた後、ジュンスとパクハはミミと別れ、二人での帰り道。
お酒を飲んで、ほろ酔いでフラフラと歩くパクハを支えながら歩くジュンス。

「キョン、ちょっと今日いつもより飲んでたね。大丈夫??」

「じゅんすぅ先輩っ!私は全っ然大丈夫です~・・へへ」

「水飲む??」

「いいですよぉ、大丈夫です」

「大丈夫そうに見えないから言ってるんだよ。そこのベンチに座ってて、近くの自販機で水買ってくるから」

ジュンスはパクハをベンチに座らせると、足早に水を買って戻ってくる。

「はい、水だよ、キョン。」

「うん」

ぼーっとしているパクハに水を飲ませるジュンス。
冷たい夜風に水のおかげで、少し酔いが醒めた様子のパクハ。
しかし、まだ頬はほんのり赤い。
二人はベンチに座ったまま、特に会話することもなく過ごす。

しばらくして、ジュンスは口を開いた。

「キョン・・最近、何か悩んでることとない??」

「悩みってなぁに?」

パクハは空を見上げたまま答える。

「いや、別にないのならいいけど・・・最近、元気がないように見えることがあるから」

「・・そう見える?」

「うん」

「・・そっか」

少しの沈黙。

「キョン・・キョンは一人じゃないよ。」

ジュンスは一番伝えたかったことを伝える。

「キョンはいつも一人で家族のために人にために頑張ってる。僕はキョンのそんな所がすごく素敵だと思ってる。でも、あんまり一人で抱え込みすぎないでほしいんだ。・・・僕はいつでもキョンの味方だから。それを忘れないで。」

「・・うん。」

「分かってくれたなら、もういい・・くぅ~、キョン!!」

しんみりした空気を打ち消すようにパクハの頭をくしゃっと撫でるジュンス。

「あぁ~、もう!先輩!・・っふぇ」

パクハの両頬をつまむジュンス。

「しゅんすしぇんふぁい、いふぁいお(ジュンス先輩、痛いよ)」

「僕を頼りにすること!一人で抱え込んで、泣いたりしたら許さないからね!分かった?」

コクコク頷くパクハ。
頬から手を放すジュンス。
パクハは頬を撫でながら、文句を言う。

「痛いなぁ、もう・・」

「よしっ、キョン。もうそろそろ帰ろう」

「はいはい」

ベンチから立ち、先に歩いていくジュンスの背中。
その背中に向かって、パクハは微笑んで呟く。

「ありがとう、ジュンス先輩」



「ユチョナ、夕食何系が食べたい??冷蔵庫にあるもので何か作ろうと思うんだけど・・」

「うん・・・」

「も~、ユチョナ。うん、じゃなくて何がいい??」

「何でも・・」

「全く・・適当に作っちゃうよ??」

「うん・・」

上の空のユチョンに拗ねて、キッチンへ引っ込むセナ。
ユチョンはそんなセナにお構いなく物思いに耽る。

今日で完全に分かった。
パクハは自分を避けている。
理由は・・・分からない。
ジュンス先輩はセナがどうのこうのって言ってたが・・
パクハは否定してる。
・・でも、もしセナが関わってたとして、パクハは言わないか・・

「ユチョナ、夕飯出来たよ~」

「え・・あ、うん。サンキュ」

「「いただきます」」

セナは楽しげに今日あったことの話をしている。
到底パクハが避けるように仕向けるような人間には見えない。
ここは・・・はっきりさせるしかないか・・

「セナ・・」

「なぁに??」

「あのさ・・最近、パクハとなんかあった??」

”パクハ”の名前が出た途端、セナの食事の手が止まり、セナの顔から笑顔が消えた。
しかし、再び笑顔を張り付けてユチョンに聞き返す。

「パクハさん??いいえ、特に何もないけど・・どうして?」

「いや、パクハが最近変でさ。なんか知ってるかなと思って」

「さぁ・・何も知らないわ」

「本当に?」

「・・・・」

セナは静かに箸を置くと、それまた静かに口を開いた。

「・・・ユチョナはさ、私とパクハさん、どっちが好き?」

「・・え??何だよ、急に。セナと付き合ってるんだから、そりゃあもちろん・・」

「付き合ってる、とか関係あるかしら。パクハさんといる時の方が楽しそうに見えるけど、私には。それに、パクハさんに私が何かしたんじゃないかって思ってるってことでしょ?何も知らないって言ってるのにどうして信じてくれないの?私が加害者で彼女が被害者なの?パクハさんに避けられるのがそんなに嫌??私が傍にいるんだから、それでいいじゃない。それじゃ満足できない?」

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次第に声が大きくなるセナ。
今までの思いが溢れてくる。

「別にセナが何かしたとか言ってるんじゃない。ただ、何か知ってるんじゃないかと思っただけだ。パクハは、その、大切な友達だから、急に避けられると気になるだろ」

「そんなに気になるならパクハさんに直接聞けば??」

「聞いたよ。でも、何も言わなかった・・」

「・・・あっそう」

セナはパクハがユチョンに自分のことを何も言っていないことも腹が立った。
自分だけ悲劇のヒロインってわけ??

「本人が何も言わないんだったら、聞かれたくないことなんでしょ。パクハさんはそれでもっと貴方に気にかけられるかも、なんて期待してたりして」

ユチョンは驚いた。
目の前にいるセナは今まで見たことのない表情と口調、そして、物の言い方だった。

「何言って・・パクハはそんな奴じゃない」

「あら、よくお分かりで。」

セナは立ち上がると、荷物をまとめた。

「今日はもう帰るわ」

「セナ・・別に信じてないわけじゃなくて・・」

「この話はもうやめましょう。とりあえずもう帰る」

「・・気をつけて」

「ええ・・・」

・・・ガチャン


初めてセナと喧嘩したユチョン。
自分の知らないセナを垣間見て、ユチョンは動揺していた。
セナはパクハのことをあまりよく思ってないようで・・・
ジュンスに言われ気にはなっていたが、セナは関係ないだろうとどこかでは信じていたユチョン。

しかし、今日、その思いが揺らぎ始めた。











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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆さん、ご無沙汰しております!!
試験期間が終わり、夏が訪れました・・(。-`ω-)

相変わらずの更新停滞申し訳ありません。

今回はユチョンがついにセナの何かに気づき始めました・・・
パクハ、もうすぐだよ!!ww

これからもよろしくお願いします!!
Onehoでした!!(^^)/
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# by oneho-inway0621 | 2015-07-27 18:18 | 桔梗の輪廻

40

ユチョンはじっとパクハを見つめる。
パクハは驚きで言葉が上手く出てこない。

「なんで・・ここに・・・?」

そんなパクハの言葉にユチョンは眉を少しひそめ腕を組んだ。

「こちらこそ聞きたいことがあるんだけど、パクハさん」

久しぶりに聞いたユチョンの声に心が震える。
でも、それではいけないと自分を戒める。
自分が少しでも気を緩めたら、またセナさんを誤解させることをしてしまうだろう。

「・・何?」

気を取り直して、冷たく言うパクハ。
そんなパクハにユチョンはさらに眉をひそめたが、すぐに笑顔で尋ねた。

「この間ボランティアを手伝うって話しただろ?あれ以来詳しい話してなかったなぁと思って。それについて聞きたくて・・待ってた。最近、話せてなかったし・・・」

本当はこんなこと聞くために待ってたわけじゃない。
どうして自分を避けるのか、何か君にしただろうか、それともセナと何か・・・それが聞きたくて待っていたけど、いざ本人を目の前にすると聞きづらくて。
そして冷たく自分に接するパクハに気づかないふりをして、ここ最近話してなかったことを些細なことのようにして、平気なふりして取りあえず頭に思い浮かんだことを口に出した。
そしたら、また前みたいに笑顔で答えてくれることを少し期待する。

「あぁ・・そのこと。・・それなら、もう来てくれなくて大丈夫」

ユチョンから顔を背けて答えるパクハ。
ユチョンは取り付く島もないパクハの対応に頑張って浮かべた笑顔を保つことが出来ない。

「・・え?何言って・・」

「もう人手が足りてるから・・わざわざ来てもらわなくても大丈夫になったの」

「なんで勝手に・・」

「勝手に手伝いを頼んだり断ったりしてごめんなさい。・・でも、本当にもう大丈夫だから」

頑なに断るパクハに苛立つユチョン。

「別に少しくらい人が多くたっていいじゃないか。せっかく俺が手伝うって・」

「ユチョン君には・・私たちよりもあなたを必要としてる人がいると思うの」

ユチョンの言葉を遮り、はっきりと言うパクハ。

「そういうことだから・・じゃあ」

ユチョンの前から足早に立ち去ろうとするパクハ。
ユチョンは背を向けたパクハの腕を掴む。

「セナに何か言われた?」

パクハの言葉からセナの存在を気にしている雰囲気を感じ取った。
そして、ジュンスからの忠告まがいの言葉を思いだした。

パクハは唐突に出てきたセナの名前に思わず足を止める。
その隙にユチョンはパクハの正面に回りこむ。

「セナに何か言われた?」

再び同じ言葉をかけるが俯いたパクハはユチョンの方を見ようとしない。
それをもどかしく感じたユチョンは、パクハの腕を掴んでいる手の力を強める。
すると今日初めてパクハの目がユチョンの目を捉えた。



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しかし、パクハはユチョンの強い眼差しにじんわりと涙目になりそうになってすぐに目を背けた。

「何にも言われてなんか・・」

「何言われたのかは知らないけど、気にしないで。セナは色々と考え込む性格だから」

今のパクハにとって、こんなユチョンの言葉はただ辛かった。
いっそのこと優しくしないでほしい。
私のことなんか気にしないでほしい。

何も答えないパクハにユチョンは優しく声をかける。

「パクハ?」

その優しい声音がパクハを悩ませているとは知る由もない。

「何も言われてないってば!」

そんな苦しさが重なって大声をだしてしまうパクハ。
ユチョンは急に叫んだパクハに驚く。
パクハは一息つくと、改めて静かにユチョンに答える。

「・・・本当に何も言われてないよ。最初からユチョン君はそんなに乗り気じゃなかったんだし、ただ無理に手伝わせなくてもいいと思っただけ」

そう言うと、パクハは自分の腕を掴むユチョンの腕をそっと外した。

「それじゃあ・・またね」

去ろうとするパクハの腕をまた取るユチョン。

「ちょっと待っ・・」

「私のことは気にしないで」

パクハの言葉はユチョンの手の力を弱めた。
パクハは振り向くことなく力の緩んだ手から離れるとそのまま早歩きで去って行った。

”私のことは気にしないで”

去って行くパクハの後ろ姿を見るユチョンの頭の中にはパクハの言葉が響き、その言葉が心臓まで響き痛みを伴わせる。


バイト先の花屋に着くと、すでにミミとジュンスがいた。

「遅れてごめんね!」

「あ、パクハ、お疲れ~!!もうジュンス先輩とボランティアの打ち合わせ始めちゃったよ」

「キョン、お疲れ!!」

あのあと足早に大学から出たものの、それからバイト先までの道中ユチョンとのやり取りを色々と考えて歩みがつい遅くなってしまった。

パクハが合流し、三人で打ち合わせを始めたものの、パクハはどこか上の空。
ミミがそのことを指摘するとパクハは笑って誤魔化した。

そんなパクハをジュンスは少し悲しげに見つめていた。









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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皆さん、お久し振りです!
四月中にも一回更新したかったのですが、いつの間にか五月に・・((+_+))
今回はご無沙汰の現世のお話です。
この前アップした前世のお話に続き今回も展開は暗かったですね・・
早く明るいお話に進めるように頑張ります!!

GWにお別れを言えない自分を奮い立たせて、これからも頑張りますww

Onehoでした!!
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# by oneho-inway0621 | 2015-05-07 20:23 | 桔梗の輪廻

其十一

その日、李家の夕餉の時間の沈黙を破ったのは珍しくガクだった。

「父上。婚姻の件ですが」

息子に同じ話題で話しかける機会を窺っていた父親はほっとした。
自分の信念を貫く性格は自分に似たのだろうが、それは誇らしくもあり時に頑固で厄介なこともある。
今回の件は息子の意思を出来るだけ尊重してやりたい気持ちはあったが、一族を考えるとその場合息子の婚姻は本人達だけの問題ではなくなる。
息子もその点には理解があると思う。
今まで我が息子があまたの女人から気を寄せられているという話は聞くが、誰かに気を寄せたという噂も気配もなかった。
そんな息子がいきなり見ず知らずの女人と夫婦として接する気苦労を考えると、少しは気心の知れた人が良いかと思っていたところに、洪(ホン)氏から互いの子を結婚させないかという提案があった。
息子は幼いころから洪氏の娘とは交流があり、今も話し相手になっているという話だ。
その提案を受けてから息子が洪氏や洪氏の屋敷の者の関係をより深くするため度々洪氏のもとへ使いへ行かせた。
そして、機会を図って結婚の話を持ちかけてみたのだ。
案の定、戸惑う息子にファヨン嬢の話をしてみると少しは効果があったみたいだ。
しかし、それからはなんとなく何か悩んでいるようで話を先に進めることが出来なかった。
政治的にも親しくしておきたい洪氏からまだかと催促の手紙まで届き、今日こそ話をしようというとき、絶好の機会に息子から話を切り出してきた。

「決心はついたか。私も最初に話した時から色々考えたのだが、やはりファヨン嬢との・・」

「父上にいずれ紹介したいと思っている方がいます」

「それは・・ファヨン嬢ではないのか」

「はい。少し前に知り合った・・というより出逢いました」

息子からの突然の話に、戸惑う父親。

「その方はきちんとした・・その・・お家の方なの?」

普段はあまり口を出さない母親も突然現れた得体の知れない女人に不安を感じた。
女人にあまり慣れていない息子がだまされているのではなかろうか、と。
息子はいくら女人に慣れてないとはいえ、そう簡単にだまされるような子ではないことも知っている。
でも、やはりどうしても心配になってしまうのが母親というものだ。

「どこの方かは知りません。しかし、とても楚々とした素敵な方です。僕も一応、父上や母上のもとで人を見る目を磨いて育ってきたつもりです。僕自身も彼女については知らないことが多い・・だから、少しだけ彼女を知る時間をください。それで本当に父上と母上に紹介したいと思ったら、紹介します。ですから、心配なさらないでください、母上」

「では・・ファヨン嬢はどうするのだ、相手方ともある程度話をつけているというのに」

「それは・・」

ファヨンだって、僕の事を恋愛対象として好きでなくても、父親同士が決めた縁談でも、それなりに親しい相手から縁談を断られたと知ったら傷つくだろう。
それは避けたいのだが・・

「・・・分かった。もう少しだけ時間をくれと伝えておく。いいか、息子よ。急かして申し訳なく思うが、李家の長男として生まれたからには仕方がないことだ。ちなみにファヨン嬢との縁談の話はまだファヨン嬢には伝わってない。万一の事を考えて、ファヨン嬢が傷つくことのないように完全に決定するまで話さないことにしてある。その点は心配するな」

ファヨンの話を聞いてガクはほっとした。

「お気遣いありがとうございます、父上」

これで、もし僕がキョウを心に決めても、ファヨンは傷つかないだろう。


「李氏からのお手紙です」

「ふんっ、やっと寄越したか・・」

高級官僚を数多く輩出してきた李家に次ぐ家門である我が洪家。
今回の婚姻が成立すれば、李家の勢力を多少なりとも取り込むことが出来る。
そしていずれは・・・
清廉潔白な精神を尊重し人望が厚い李家と親しくしてきたのは、このためとも言ってもいいかもしれない。
清く正しい心だけでなく時には狡賢くならないとな。
私はこの精神で洪家を李家に次ぐ家に成し得た。

待ちに待っていた手紙を開く。

「・・どういうことだ!?もう少し時間をくれだと?どれだけ待たせるんだ。あやつ・・もしかしてこのまま別の娘を嫁に迎えるんじゃなかろうか。別の息子の嫁候補を見つけたということか?やけにあっさりこちらの提案を受けたと思ったら裏切りよって・・・おい、誰かいるか」

「はい、旦那様」

「部屋に入れ。・・いつもの奴らに頼みごとがある」

「・・はい、分かりました。何とお伝えしましょうか」

「こう伝えろ。”例の息子を見張れ。そして、誰か娘に会っていたらその娘の素性を報告しろ”と」

「かしこまりました、旦那様」

そう簡単にこんな絶好の機会を逃すものか。

そう簡単に私を裏切らせるものか。










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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんにちは!!
今回も前世のお話です(~_~;)
今更ですが、現世が39話、前世が10話・・・(@_@)
後から始めたので当然なのですが、少し追いつかせたいなぁと思いまして前世を連続でお届けしています。
現世がお好きな方、少々お待ちください!!
さすがに前世の話は現世の話ほど長くないので前世ばかりやってるとさっさと終わっちゃいそうですが。。。
まぁ、早く終わらせろって話かもしれませんね・・・(T_T)

今回はなんか少し不穏な話になってしまいましたね。
次は明るい展開がいいなぁww

また近いうちにお会いしましょう!!
Onehoでした!!!









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# by oneho-inway0621 | 2015-03-19 16:46 | 桔梗の輪廻~序章~

其十

突然の約束から数日。
キョウは何となくボーッとした気分のまま何をする訳でもなく過ごしていた。
読書をするにも身が入らない。
そんなことをしている間にも約束の日は着実に近付く。

あの日起きた出来事が未だに信じられない。
まさか私が都中の娘の憧れであるガクと……
ガクが自分に向けた笑顔を思い出すと胸が高まる。
しかし、ドキドキが収まらない一方で不安な気持ちも募っていく。
このまま流れに任せて彼との距離を縮めてもいいのだろうか。
彼が私とまた会いたいと思ってくれているのは事実かもしれないが、彼の隣にいる人は彼の意志だけでは決まらないことは分かりきっている。
そのような厳しい舞台に簡単に上がる程の度胸も持ち合わせていない。
考えば考える程、気分は暗くなっていった。
約束を破ったら、彼はそんな女は嫌だと離れていくだろうか…
彼が嫌ってくれたら、自然と心の整理がつくだろうか……

そんな考えが頭を巡るようになった頃、スジュンが家を訪れた。

「スジュン先生っ」

「よっ!ちょっと顔を見ようと思って寄ったんだ」

突然の訪問に驚くキョウに片手を上げて笑顔で応えるスジュン。

縁側に座る二人。
いつものまったりした雰囲気の中にもスジュンはキョウが何か思い悩んでいることに気付いた。
本能的に聞きたくない気持ちにもなったが、やはり放っておけない。

「何かあった?」

「…え?どうしてそう思うの?」

「うん…何となく?長年の勘かな」

「…ふふ…さすがです。……あの、実は……」

キョウが事の次第を語る最中、スジュンはキョウの話し声が霞む程の自分の鼓動が聞こえた。
何処か痛みさえ感じてしまう鼓動。
ついに…ついに覚悟していた日が近づいているんだ。
少し頬を赤らめながら話すキョウの様子を見る限り、本当はどうしたいかは明らかだ。

「…それでどうしたらいいのか…私…」

「どうしたい?…キョウは、どうしたい?」

「え、私は…えーっと…」

指をモジモジさせるキョウは、どうしようもなく可愛らしい。
…でも、僕の役目は決まってる。
一息つくと、話が始まってから初めてキョウの目を見つめた。

「もったいないな」

「え?それって…」

私が彼に…ってこと?
確かにその通りだけど…そんなにはっきり言わなくたって…
少し俯いたキョウの頭にポン手を置くと、言葉を続ける。

「何処かの坊ちゃんには、賢くて思い遣りがあって少ぉしは可愛いキョウはもったいないよ」

「え…少しって何です、少しって!」

「ごめん、ごめん。…でも、本当にもったいない程だから大丈夫だよ。あとは、キョウがどうしたいかが大切だ。…キョウの人生だから。何か困ったことがあったら、相談してくるといい。いつでも僕は君の味方だから。僕みたいな心強い後ろ盾もいるんだ。キョウは自分の進みたい道を選ぶといいよ」

「…うん。ありがとう、スジュンお兄さん」

久し振りに聞いた懐かしい呼び名に胸が締め付けられる。
しかし、だからといってこれ以上何もすることは出来ない。

これまでも、そしてこれからも"先生"であり"お兄さん"が僕の役目だから。


私は決めた。
彼に会いに行こう。
これから先、たくさん大変な事があるだろうけど、会いに行かなかった事を後悔するよりは良いだろう。
私には、スジュンお兄さんもついているから。
出来る所まで頑張ろう、後悔しないように。
























…………………………………………………………………………

お久し振りです!!
連続で前世のお話です。
現世もやっと主役二人の絡みが出て来そうな寸前ですが…すみません(−_−;)
今回は前世のお話をお楽しみください。。

春はすぐそこなのに、未だに暖まりきれないですね……
早く春が来るといいですね(。-_-。)

皆さん、季節の変わり目は体調にお気をつけくださいね。
なるべく早く皆さんにまたお会いできるように頑張ります!!

Onehoでした!!



















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# by oneho-inway0621 | 2015-02-20 17:08 | 桔梗の輪廻~序章~

其九

ガクが父親から結婚を促されてから一ヶ月が経とうとしていた。
その日を境に顔を合わせる度に両親は何かと息子の様子を伺うが、初めは一向に首を縦に振ろうとしないガクだった。
ガクは毎日のように街に出てはキョウの姿を探した。

今日まで……これでもう諦めよう…

そう思う日がずっと続いた。

しかし、父親の提案から一ヶ月経って少しすると、ガクはもう気持ちがほぼ決まっていた。
そしてある日の朝、決心した。

今日駄目だったら、父上の話を受けよう。

いつもの街中。活気ある商店。
ガクは無意識にいつもより慎重に時間をかけて歩く。
無情にも目的地である貰冊房に到着する。
溜息をつきながらも、席に着くとすぐさま学びの世界へと入って行く。

気付けば外は暗くなっていた。
荷物をまとめると、貰冊房を出る。
ひんやりとした風がガクの頬を掠める。

「本当に今日が終わるんだ……」

そう呟くと、ガクは決意を胸に家へと足を進め始めた。

貰冊房を出て少しの所にある商店街を通ると、いつもより人通りが少ない。
本来は物静かな所を好むガクだが、今日に限ってはその静かさが心に染みた。
今日何度したかも分からない溜息をつきながら、重い足取りで歩く。

そんなガクの歩く通りの先にある商店から娘が一人出てくる。
娘は外の寒さに身をすくめると早足で向こうへと歩いて行く。
すると娘は足をとられて転んでしまった。

「……きゃっ…」

微かに聞こえる声。
思わず駆け寄ろうとするガクだったが、ふと先日の出来事を思い出す。
またこの間のような事になるのも避けたい。
しかし、やはり素通りするのも気が進まない。
声をかけるくらいなら…かけてからすぐに帰ればいいか。

ガクは娘に近付くと、そっと声をかけた。

「あの…大丈夫ですか?お怪我は……」

顔をあげた娘の顔を見て、ガクは息を呑んだ。
そして、娘も驚いて声をあげる。

「イ……ガク様…ですか??………嘘…」

ガクは目を見開いたままで声が出てこない。
目の前にいるのは…確かにパク・キョウさんだ……
でも……こんな……信じられない……

キョウは微動だにしないガクを不思議に思いながら立ち上がる。

「イ・ガク様…?」

ガクの顔を覗き込むキョウ。
そんなキョウにガクもやっと我に返る。

「あっ…あの…お久し振りです。……お元気でしたか?」

「はい。またお会いできるなんて思ってもみませんでした……嬉しいです…」

ドクン。
ガクの胸が大きく鼓動する。
顔を赤らめて言う姿は何とも可愛らしい。

「ぼ、僕も嬉しいです……本当に」

キョウは夢のように感じた。
都でいつも話題となる容姿端麗な名家のお坊っちゃまが自分を覚えていてくれて。
しかも、会えて嬉しいと言ってくれるなんて。
世の女の子皆が羨む瞬間を私が経験するなんて。
夢心地なキョウだったが、いつまでもこうしてはいられない。
素早く現実に戻る。

「お声を掛けてくださり、有難うございます。……またお会いできる日を楽しみにしております。……では…」

「え……あ……ちょっと待って!」

すぐに自分の前から去ろうとするキョウの手を掴むガク。
思ったより強い力で手を引いてしまって、キョウがよろける。

「あ、すみません……」

慌てて手の力を緩めるものの、離すことはしない。

「何か…?」

キョウはガクに掴まれた手から全身が熱くなっていく。

「え………その…」

ガクは自分が何をしたいのかよく分からない。
ついさっきまでは、一目キョウの顔を見たいと思っていた。
でも、いざ目にすると、このまま別れてはいけない気がした。
だからと言って何をするというわけではない。
ただ今は自分の心に従って、考えている事を言うしかない。

「……偶然に頼らないようにしませんか。僕と」

「…え?」

首を傾げるキョウ。
ガクはキョウの目を真っ直ぐ見つめて言った。

「また会いたいんです、貴女と」

キョウは自分の耳を信じられなかった。
やはり自分は夢の中にいるのか……
しかし、キョウの手を掴むガクの力が現実であると示していた。

「……私と…私なんかと会っても何にもなりません」

ガクの眼差しから目を逸らすキョウ。
キョウの手を掴む力をグッと強めるとはっきりと告げた。

「僕にとっては意味があります、とても」

その力強い声に思わずガクと目を合わせてしまう。

「僕にとっては……というのも自分勝手ですよね」

そう言って苦笑いするガク。

その純粋な笑顔を見ながら、キョウは初めて会った日からの事を思い出す。
イ・ガクという名前は思ったより頻繁に耳に入ってきた。
何処を歩いていたかという些細な話から結婚に向けての動きが始まったようだとの都のご令嬢達にとって聞き逃すことのできない話も耳にした。
街を歩いていて彼がいるかもしれないと少しドキドキしたり、結婚の話を聞いた時に胸がチクッと痛んだりしたが、どうせ縁がないことだと思っていた。
そんなガクにまた会いたいと言われて、嫌な訳がない。
しかし、常に話題の的となるガクと自分の様な人間が気安く仲良くしてはいけないという思いが強くある。

自分を見つめながらも何かを考え込むキョウの心中を図りかねるガク。
ガクはガクでキョウにここまで興味を持ってしまう自分が不思議で仕方ない。
やはり惹かれる一番の理由は飾らない態度と何処か守ってあげたくなる雰囲気だろう。
この子を逃してしまったら、きっと後悔する。
そう確信する。

「都から少し外れた丘をご存知ですか?」

唐突なガクの質問に驚きながらも頷くキョウ。

「では、一週間後の昼頃、その丘でお待ちしています」

「…えっ!?」

ニッコリと笑うガクと対照的にキョウは突然の発言に対応できない。
ガクはやっとキョウの手を離す。

「ちょっと…何を…」

「キョウさん。僕、ずっと待っていますから。…では」

真剣な口調で言うと満面の笑みで会釈し、足早に去って行く。

「え、ちょっと、待ってください!待って!」

あっという間に二人の再会の約束は交わされた。

そして、二人の運命も大きく動き出したのだった。












…………………………………………………………………………

明けましておめでとうございます!!!
皆様、お元気ですか?
私は休み明けのつらさをしみじみと味わっております……(ーー;)

とても久し振りに前世のお話をアップしました。
楽しんで頂けると嬉しいです(。-_-。)

まだまだ寒さが厳しいようですが、皆さんお身体に気をつけてお過ごしください。

Onehoでした!!



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# by oneho-inway0621 | 2015-01-06 22:58 | 桔梗の輪廻~序章~

39

パクハは毎日を忙しく過ごしていた。
アルバイトと授業の行き来を繰り返す毎日。
何か考え事に耽る暇などない……というより考えないために忙しくしている。

カフェでの一件の後、パクハは日常に関わるようになっていた一人を避けるようになった。
急に距離が縮まった大学の王子と極普通の女子大生の二人が今度は急に疎遠になった事は多少話題にはなったが、当の本人たちが何もないように過ごしているのでー王子の方はそうでもないがー皆も無理に聞こうとはしない。

「キョン、来週のボランティアの件なんだけど…」

ジュンスは複雑な心境だ。
何となく牽制めいた雰囲気を醸し出してくる日常への侵入者の事を大歓迎する気にはなれなかったが、その雰囲気を除いた普段の彼は頭の良さはもちろんのこと無邪気でユーモアもある一緒にいて楽しい人だ。
パクハを介して話すようになるまでは、普段大学で見かけるクールなイメージ持っていた。
だからこそ、よく笑ったりムキになったりする彼を見て驚いた。
それがパクハといる時であるというのに気付いているのは僕だけだろう……
そんな魅力的な彼に向けるパクハの目は次第に僕の胸をジンジンさせた。
そして、パクハが度々思い悩んでいるような顔を見せるようになった。
その顔がよく見られるようになるにつれて、セナの視線が鋭くなっていく。

「あ、ジュンス先輩。ちょうど良かった。私も早めに準備しておかないとって思ってて………三人でしなきゃいけないし」

「…ユチョンは?しないって?」

「……よく分からないけど…うん……たぶん来ないと思う…」

「…そっか……」

自分が選ばれなくても良い。
ただ君が笑顔でいてくれたら、それで良かった。
鋭くなるセナの視線に伴って元気がなくなっていくパクハ。
一人呑気に見える彼に少し腹が立って、自分にしては珍しく釘を刺した。
そんな中、セナに呼ばれた次の日から、パクハは彼を避け始めた。
空元気で笑おうとする。
何があったのか、何を言われたのか、聞けずにいたが検討はつく。
ただ傍にいることしか出来ない自分だったが、少しずつ元の笑顔が戻ってきた。
これ以上思い悩まないでほしい。
だから、このままで。

「じゃあ、詳しくは今日のバイト終わりにミミと三人で!」

「了解!キョンはこれからまだ授業??」

「うん、あと一コマ残ってるの。またね!!」

笑顔で去って行くパクハ。

このままで……どうか、このままで。


最後の授業が終わり、空には月が見える。

「早くバイトに行かなきゃ……」

時計を見て、急いで荷物をまとめる。
教授と授業終わりに少し話し込んでしまったせいか、教室にはパクハ以外もういない。

人通りのない廊下を歩く。
夜、靴音が響く音は一人で聞くと何だか怖く感じる。
少し足を速めるパクハ。

ボランティアでの料理は何を作ろうか……そんな事を考えながら歩く。

そんなパクハは突然前に現れた人影に対応が遅れ、ぶつかる。

「…いたっ……あ、すみません。気づかな…く……て」

パクハは驚いた。
今目の前に立ちふさがってパクハを見つめる人は、紛れもなく距離を置くと決心したパク・ユチョン、その人だった。












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……………………………………………………………………………

皆さん、こんばんは!!
やっと更新出来ました……(−_−;)
もっと頻度を上げれるように頑張ります。。

今回はジュンスの独白的な感じになりました。
次回はパクハとユチョンの絡みが入ると思います!
あ、その前に前世もですね!

いつも温かいお言葉ありがとうございます!!
寒さが深まる中、お体に気をつけてください。。

Onehoでした!!

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# by oneho-inway0621 | 2014-11-24 00:40 | 桔梗の輪廻

こんばんは(。-_-。)

皆さん、こんばんは!!
八月の半ばの更新以来になります、onehoです(−_−;)

ぼかしていた更新がもうすぐ出来そうです!
いつも不定期且つスローペースで申し訳ありません。。。

そして、いきなりですが……
祝JYJ日本ドームツアー!!!(=´∀`)人(´∀`=)
今更感が否めませんが………ww
明日がいよいよ初日ですね!!
もうすぐ入隊してしまうけど、これから日本での活動もより活発になってほしいです。

話を戻しますと……
もうすぐお話を更新できると思います!
前世と現世、両方のお話を……と予定しています。
なるべく早く更新出来るように頑張ります( ̄^ ̄)ゞ














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# by oneho-inway0621 | 2014-11-17 22:24

38

経済学部のとある講義室。
まだ講義が始まる時間ではないものの、教室にはどことなく緊張感が漂っている。
その緊張感の発信源は教室の後方の座席に座っている人物である。

「なぁ…アイツ、どうしたのかな…」

「ここ最近、ずっとあんな感じだもんな」

「深刻な悩みでもあるのよ、きっと」

「いや…あれは悩みというより……」

「「イライラしてる」」

後方の人物を盗み見ている人々が共通して感じ取っているのはその人物の抱く"苛立ち"である。


頬杖をつき、反対の手は机上に置かれ、その人差し指は机に規則的にリズムを刻む。
その姿はいつも通りなのだが、醸し出されるオーラは講義室の空気を張りつめさせている。
皆の視線の先にいる発信源-パク・ユチョン本人はそんな視線に気付かずに窓の外を見つめている。
そして、周りの推測通り、このところ御機嫌斜めである。
セナが隣にいる時はマシだが、今のようにセナと違う講義の時は思う存分不機嫌全開オーラを出しているのだ。
ただし、セナがいる時マシになると言っても、セナがいるから気分が落ち着く訳ではなく、このところの不機嫌の"原因"に関係あるような気がして何となく気を遣うというだけである。
窓の外をずっと見つめていたユチョンの眉間にスッと皺が寄る。
それと同時に講義室での緊張感がピキッと音がなるようにさらに増した。
その視線の先には………


中庭でジュンスとお茶するパクハ。
はたから見るといつも通り元気なパクハだが、ジュンスにはその様子が空元気に見えた。
しかし事情を尋ねる訳でもなく、パクハ本人が話そうとしてくれるまでは黙っているつもりでいる。
でも何となくその空元気の理由が分かってしまう、パクハが自分に何も言ってこない事よりもその事が一番堪えた。
だがやはり他から見たら、仲睦まじくお茶する二人に見えるわけで………


………お二人、楽しそうなことで。
それはそれは面白くない気分のユチョンは中庭で仲良くお茶する二人を見ている。

俺、何かしたか?アイツに。
数日前からパクハの様子がおかしい。
おかしいというか…明らかに避けられている。
避けられ始めたのはあの日からだろう。
ジュンス先輩から妙な忠告を受けた次の日。
セナがパクハを呼び出したとか何とかって……
その日の朝、セナはいつも通りだったが、パクハに話しかけても目を合わせようとせず、足早に去って行った。
最初は避けられている気がするのは気のせいかと思っていたが、あからさまに避けられたと言える状況が続くと気のせいではないと確信した。
どうってことない。かなり心を許した友達を失うのは残念だが、今までもそんなことは多々あった。
そんな心持ちでいた……はずなのに。
大学でパクハがジュンスと楽しげに話しているのを見かける度に、自分の中に何か引っかかるものを感じた。
その引っかかりが積み重なっていくにつれて、苛立ちも募っていく。
今まで感じたことのない気持ち。
だからこそ、対処しきれずに持て余している今だ。


そんなユチョンに話しかける勇気を持つのは……

「よっ、不機嫌王子!」

「……何だよ、ドンミン」

ドンミンしかいない。

「今日も絶好調で御機嫌斜めだな。最近、どうしたんだよ?」

「別に…」

一番相談を持ちかけたくない相手であるドンミンから聞かれても答えるわけがない。
一度はドンミンを見遣ったユチョンだが、再び窓の外に目を向ける。
しかし、意外と目敏いドンミン。
ユチョンの視線の先に気付いた。

「おっ、パクハちゃんだ!あの二人、本当に仲良いよな。そう言えば、最近お前ら話してないよな。あんなに急に仲良くなったのに……」

目敏いが遠慮のないドンミンは核心をつく。

「…………」

何も言えないユチョン。

「フッ……この間の飲み会なんか、俺に嫉妬しちゃってさ……」

「してないっ!誰がお前なんかに嫉妬を…」

「ムキになっちゃって~」

「なっ…」





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ドンミンをキッと睨むユチョンだが、ドンミンはお構いなしだ。
周りは急に大声を出したユチョンに驚く。

それに気付き咳払いをするユチョン。

「ヤキモチユチョン」

「黙れ」

「ジェラるユチョン」

「勝手に言っとけ」

小声で続く二人の言い合いに周りは関心を向けたが、ユチョンの苛立ちの内容は結局分からずじまいだった。

ユチョン自身もドンミンの一言にハッとさせられそうになったが、嫉妬なんてあり得ない、と決め込んだ。


気持ちの解明には程遠そうである。














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…………………………………………………………………………

やっと、アップ出来ました!
意外と出番が多いドンミンww
使いやすいんですよね( ´ ▽ ` )ノ
次は……いつかな(ーー;)
次のお話は今回同様事前に更新予告するか、ゲリラ更新になると思います!
今回現世だったから次は前世に……
皆さんはどちらがいいですか??
次の更新までの間を意見募集期に……ww

いつも蓮の花を訪れていただきありがとうございます。
なるべく早く更新したいと思います( ̄^ ̄)ゞ

Onehoでした!!
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# by oneho-inway0621 | 2014-08-17 00:38 | 桔梗の輪廻